機材名:KORG phase8担任:Mr. Nano
| 科目 | 評価 | 担任所見 |
|---|---|---|
| 発想の独自性アコースティック・シンセシス | 5たいへん よくできました | 最後の段であるスピーカーを取り払った発明です。 |
| 音質・音の個性本物の金属の響き | 5たいへん よくできました | サンプルの金物とは別物の気配が出ます。 |
| シーケンス性能ポリメトリック | 4 | ボイスごとに拍子をずらす遊びができます。 |
| 再現性物理共鳴 | 2 | 温度や個体差で鳴りが変わります。それを楽しめるかが分岐点です。 |
| 導入コスト159,500円 | 2 | スパイス1瓶の値段としては、覚悟が要ります。 |
スピーカーの要らない音を鳴らすシンセ、つまり本物の金属板を電磁石で震わせる機材です。volcaの生みの親のKORG Berlin第1作。同じ音が二度と鳴らない、物理の楽器です。
5=主力として非常に優秀/4=明確な強みがある/3=実用的だが工夫が要る/2=制約が大きく用途を選ぶ/1=この用途では勧めにくい。評価項目は機材ごとの得意・不得意に合わせて選んでいます。順位付けや他の機材との点数比較はしません。「資料評価」はメーカー資料・公開情報に基づく採点で、実機検証後に更新します。
「スピーカーを取り払う」
実験ショーへようこそ。今日はシンセからスピーカーを取り除きます。
「音が出なくなるのでは?」——出ます。8本の金属板を電磁石で直接震わせるからです。
つまりこれは、電気で鳴らす鉄琴。二度と同じ音は鳴りません。
実験費用は159,500円。物理は、いつだって少し高いのです。
この一席は、通信簿の評点と本文の事実に基づいた創作です。
この記事でわかること
- アコースティック・シンセシスという新しい仕組み
- 作ったのがvolcaの生みの親のチームであること
- 8ボイス・ポリメトリックなシーケンサー・CV対応という中身
- 国内価格159,500円(2026年8月24日・楽天市場の出品。各店とも定価で一律)
電子でも、アナログでもない
シンセサイザーの音は、回路かデジタル演算で作られ、最後はスピーカーが空気を震わせます。phase8は、この最後の段を取り払いました。
音を出すのは、8本のスチール製の板(レゾネーター)です。コイルの磁力で板を直接振動させ、その響きをピックアップで拾う。電子的に制御されてはいますが、鳴っているのは本物の金属です。ギターの弦をエレキで拾うのに近い構図を、シンセの形に組み直した機材と言えます。
KORGはこれを「アコースティック・シンセシス」と呼んでいます。叩けば金属のパーカッションに、持続させればオルゴールとオルガンの間のような音に。物理的な共鳴なので、同じ音は二度と鳴りません。
KORG berlin公式のティーザーです。21秒と短いですが、金属の板が実際に震えて鳴っている質感はこれだけでも伝わります。
作ったのは、volcaの生みの親
開発したのはKORG Berlin。volcaシリーズとは|1万円台から始まる沼や minilogue、monotron を設計した高橋達也さんが2019年にベルリンで共同設立した、KORGの実験部門です。phase8はその最初の製品にあたります。
Superbooth 2024で試作機として公開され、2年かけてNAMM 2026で製品版を発表。「安くて触って楽しい」を徹底したvolcaの人が、次に選んだのが「物理で鳴らす」だった——という文脈で見ると、この機材の座標が分かります。
仕様のポイント
- 8ボイス。それぞれが独立した電気機械式の発音体
- スチール・レゾネーターは13本付属(半音違いで調律済み)。本体に8本を装着し、付属の六角レンチで交換して音階を組み替える
- ボイスごとにエンベロープとベロシティ。ウェーブフォールディングで倍音を歪ませられる
- モジュレーションは3種(トレモロ+オーディオレート2種、AMポリフォニック)。テンポ同期のトリガーディレイつき
- ポリメトリックなステップシーケンサー。ボイスごとに拍子をずらせて、クオンタイズ無しのリアルタイム録音も可
- つまみの動きをオートメーションとして記録できる。保存は8プログラム
- 接続: MIDI TRS-A入出力、USB-C(USB-MIDI)、Sync入出力、CV入力(±5V)、ライン出力、ヘッドホン
- 231×236.5×46mm・1.71kg。電源はDC12Vアダプター
- 2026年4月26日発売(3月27日の先行限定パッケージは完売)
DAWLESSの卓でどう使うか
SyncとCVを持っているので、volcaやモジュラーの隣にそのまま置けます。クロックの考え方はMIDI・オーディオ・クロックの違い。配線入門のとおりで、MIDIでもSyncでも外部と同期できます。外部鍵盤から8ボイスを演奏することも可能です。
役割は「スパイス」です。曲の土台を作る機材ではなく、他のどの機材からも出ない質感——生楽器のように揺らぐ金属の響き——を1色足す係。リバーブやディレイと合わせたときの気配は、サンプルの金物とは別物です。
向かないのは、正確に同じ音を求める人です。物理的な共鳴が音源なので、温度や個体差で鳴りが変わります。それを欠点と取るか、楽器らしさと取るかで評価が分かれる機材です。
購入・価格を見る
枠内の価格は当サイトが調査した相場で、販売価格ではありません。2026年8月24日時点では各店とも定価159,500円で一律です。
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この記事は公開されているメーカー資料と国内販売店の情報をもとに書いています。実機での検証は行っていません。音の質感、つまみの感触など、触らないと分からない部分については書いていません。
画像について: アイキャッチはメーカーの製品写真を参考に、形状・配色・つまみやボタンの配置をなぞって描いたAIイラストです(ロゴや文字は省略。写真ではありません)。実機の姿は本文の公式動画でご覧ください。
次に読む
- 同じ設計者の原点 → volcaシリーズとは|1万円台から始まる沼
- 電子楽器のもう1つの異端 → SOMA Lyra-8とは|鍵盤の無いオルガニズミック・シンセ
- 同期と配線の基礎 → MIDI・オーディオ・クロックの違い。配線入門
出典
- KORG 公式 phase8(仕組み・仕様・付属品)
- 島村楽器 Digiland 製品ニュース(国内発売日・価格・機能の日本語表記)
- Synthtopia(高橋達也とKORG Berlinの経緯)
- 国内価格は楽天市場の出品(2026年8月24日確認)
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この記事はメーカー公式資料・公開情報に基づいています。個別機材の操作結果は、実機検証を行った時点で「検証済み」へ昇格させます。未検証の内容を「使ってみた」かのように書くことはしません(検証ポリシー)。
