機材名:beetlecrab Vector担任:Mr. Nano
| 科目 | 評価 | 担任所見 |
|---|---|---|
| 発想の独自性軌道で音が動く | 5たいへん よくできました | 画面の中の物理で音が変わる、新しい科目です。 |
| 操作性7インチタッチ+ノブ25 | 4 | 概念は新しくても、操作の入口は開けています。 |
| 表現力MPE対応 | 4 | 外の鍵盤の圧まで軌道に乗せられます。 |
| 音色の汎用性 | 2 | 普通の音がほしいだけの家庭には回り道です。 |
| 導入コスト14万円前後 | 2 | 美術品の学費です。 |
7インチ画面の中で音が軌道を描いて回り続けるシンセです。触って楽しい現代美術ですが、14万円前後の学費と、軌道という概念に付き合う気があるかで進路が分かれます。
5=主力として非常に優秀/4=明確な強みがある/3=実用的だが工夫が要る/2=制約が大きく用途を選ぶ/1=この用途では勧めにくい。評価項目は機材ごとの得意・不得意に合わせて選んでいます。順位付けや他の機材との点数比較はしません。「資料評価」はメーカー資料・公開情報に基づく採点で、実機検証後に更新します。
「本日の軌道」
ようこそプラネタリウムへ。本日の星は、音でできています。
画面の中を音の星が周回し、軌道が変わると声も変わります。
「星を眺めて何になるの」と問う方には、向いていません。眺めること自体が目的の装置です。
入場料は14万円前後。年間パスポート級ですので、通う覚悟のある方だけどうぞ。
この一席は、通信簿の評点と本文の事実に基づいた創作です。
この記事でわかること
- ベクター合成とは何か。この機材は何を足したか
- 16声・7インチタッチ画面・25エンコーダーという中身
- Temperaとの関係(同じ会社の1作目)
- 国内価格141,790〜154,000円(2026年8月24日・楽天市場の宮地楽器の出品)
4つの音の間を、動き続ける
ベクター合成は1980年代からある技法です。四隅に4つの音源を置き、その間のどこにいるかで混ざり方が決まる。Prophet VSやKORG WAVESTATIONが積んでいた方式、と言えば通じる人には通じます。
beetlecrab の Vector は、この「どこにいるか」を自動で動かします。画面の中の点(オービター)が、円や8の字などの軌道を描いて回り続け、通り道に応じて4つの音源(コーナー)の配合が刻々と変わる。音色が止まらないシンセです。
中身はハイブリッドで、64のフィルター、128のハーモニック・ジェネレーター、64のブレンダーを組み合わせて音を作ります。16声・1声あたり4フィルター。デジタルですが、押し出しの強い音が出ます。
beetlecrab公式のローンチ動画です。画面の中で点が軌道を描き、音がそれに合わせてうねる様子が2分弱で確認できます。この機材の売りは、まさにこの画です。
仕様のポイント
- ベクター合成+ハイブリッド音源(64フィルター・128ハーモニック・64ブレンダー)
- 16声・1声あたり4フィルター。モノ/ポリ/デュアル
- 7インチの静電容量式タッチ画面+回転エンコーダー25個+トグル7個
- アルペジエーターとステップシーケンサーを内蔵
- MPE対応(ファームウェア2.8で追加)。LAN経由でも更新できる
- 接続: ステレオ出力(6.35mm×2)、ヘッドホン、MIDI TRS入出力、USBホスト/デバイス、Ethernet
- 金属筐体 29×18×5cm・1.5kg。中身はARM Cortex-A53のリアルタイムLinux
- 初代は2021年に登場。現行はデスクトップ・モジュール版
TemperaとVector、どちらを選ぶか
同じ会社ですが、道具としては別物です。
Temperaは録った音を素材にする楽器。自分の録音から音風景を作ります。Vectorは音源を内蔵したシンセ。サンプルを用意せず、鍵盤(外付け)で弾く使い方が主です。
動き続けるパッドや、弾くたびに表情が変わるリードが欲しいならVector。似た価格帯のデジタル機だとHydrasynth ExplorerやMiniFreakが比較相手になりますが、「音色が軌道で動き続ける」という一点はVectorにしかありません。
注意点は、鍵盤が無いことです。本体だけでは打ち込み中心になります。MPE対応を活かすなら対応鍵盤も必要です。
購入・価格を見る
国内では宮地楽器が取り扱っています。枠内の価格は当サイトが調査した相場で、販売価格ではありません。メーカー直販は1,025ユーロ(日本への送料・輸入費用込みの表示)です。
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beetlecrab Vector
- 新品相場
- ¥141,790〜¥154,000
- 中古相場
- 相場データなし
2026-08-24 時点の調査(楽天市場の出品(宮地楽器))。相場は変動します。販売価格は各店舗の表示をご確認ください。
この記事は公開されているメーカー資料と国内販売店の情報をもとに書いています。実機での検証は行っていません。音の質感、つまみの感触など、触らないと分からない部分については書いていません。
画像について: アイキャッチはメーカーの製品写真を参考に、形状・配色・つまみやボタンの配置をなぞって描いたAIイラストです(ロゴや文字は省略。写真ではありません)。実機の姿は本文の公式動画でご覧ください。
次に読む
- 同じbeetlecrabのグラニュラー → beetlecrab Temperaとは|音の上を指でなぞるグラニュラー
- 比較相手の8声 → ASM Hydrasynth Explorerとは
- 配線の基礎 → MIDI・オーディオ・クロックの違い。配線入門
出典
- beetlecrab 公式 Vector(仕様・価格・ファームウェア)
- 国内価格は楽天市場の宮地楽器の出品(2026年8月24日確認)
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この記事はメーカー公式資料・公開情報に基づいています。個別機材の操作結果は、実機検証を行った時点で「検証済み」へ昇格させます。未検証の内容を「使ってみた」かのように書くことはしません(検証ポリシー)。
