この記事でわかること
- Anyma Omegaという物理モデリングのポリシンセが何を目指したか
- Kickstarter成功→出荷できず→破産・返金不可という経緯
- 2025年11月の買収と、「完成は2027年」という現在の公式見解
- いま買える場所は無い。支援者への補償はソフト版Anyma Vのライセンス(2026年9月2日確認)
弦も管も鍵盤で、計算で鳴らす
Anyma Omegaは、フランスのAodyo Instrumentsが2023年に発表したポリフォニック物理モデリング・シンセです。サンプルを再生するのではなく、弦の振動や管の共鳴を計算で作る方式で、同社の単音機Anyma Phiを多音化・マルチティンバー化した上位機として企画されました。デスクトップ版とキーボード版があり、想定価格はそれぞれ1,200ユーロと1,650ユーロ(Kickstarter)。
2023年のKickstarterは目標の273%を集めて成功しました。ところが出荷予定の2023年10月は守られず、2024年9月に「資金は開発に使い切った。返金はできない」と支援者へ告知。2024年10月に会社は破産手続きに入り、11月1日に事業を停止しました(Synthtopia・gearnews)。支援者にはソフトウェア版Anyma Vのライセンスが補償として配られました。
Aodyo公式の紹介動画です。会社は一度倒れましたが、この映像が示す「弦と管を計算で鳴らす」設計そのものは、新オーナーが引き継いで完成を目指しています。
2025年11月、投資会社が引き継いだ
- INODESIGN(フランス)が2025年11月にAodyoの資産を取得。CEOはMickael Coronado氏
- 既存製品(Anyma Phi・Sylphyo・プラグイン版)は販売再開
- 未完のLoomとAnyma Omegaは「完成させる」と表明。Loomは2026年、Omegaは残作業が多く2027年が目標
- 元の支援者の扱い(追加費用や待機の選択)は、Loomでは方針が示されたがOmegaは未定
- (SYNTH ANATOMY 2025年11月・2026年6月、2026年9月2日確認)
うちの機材で言えば
物理モデリングの「胴体」を1枚で持つRingsや、ポリフォニック・アフタータッチで歌わせるHydrasynth Deluxeを、1台の鍵盤に統合しようとした——Omegaの企画はそう読めます。実現すれば唯一級の楽器です。
ただしこの記事は「買い時」を伝えるものではありません。会社が一度倒れ、2027年目標で作り直している段階——うちの立場は「出て、実機が流通してから考える」です。発売前に投資する場合の考え方は、次の節に書きました。
いま買える場所はありません
新規の予約・支援窓口は2026年9月2日時点で存在しません。動きがあれば公式サイトとKickstarterの更新欄に出ます。
Aodyo Instruments 公式サイト
Kickstarter 更新欄(Anyma Omega)
※ 海外サイトです。当サイトのアフィリエイトリンクではありません。
Kickstarterは予約販売ではなく支援です。届く保証も返金の約束も通販より弱く、出荷予定は「予定」として読むのが安全です。国内代理店はなく、届いても個人輸入扱いになります。
この記事は公開されているメーカー資料と国内販売店の情報をもとに書いています。実機での検証は行っていません。音の質感、つまみの感触など、触らないと分からない部分については書いていません。
画像について: アイキャッチはメーカーの製品写真を参考に、形状・配色・つまみやボタンの配置をなぞって描いたAIイラストです(ロゴや文字は省略。写真ではありません)。実機の姿は本文の公式動画でご覧ください。
次に読む
- 同じ会社の、先に動く姉妹機 → Aodyo Loom
- 物理モデリングの現物 → Mutable Ringsとは
- 海外から買う前に → 日本で機材を買う前に。技適・PSE・保証・並行輸入
出典
- Kickstarter 更新「Update on our current situation」(返金不可の告知)
- Synthtopia(2024年10月・清算)
- SYNTH ANATOMY(2025年11月・INODESIGNによる買収)
- SYNTH ANATOMY(2026年6月・Loom更新とOmegaの2027年目標)
- 価格は発表時のユーロ表示。2026年9月2日時点で新規販売なし
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この記事はメーカー公式資料・公開情報に基づいています。個別機材の操作結果は、実機検証を行った時点で「検証済み」へ昇格させます。未検証の内容を「使ってみた」かのように書くことはしません(検証ポリシー)。
