機材名:Waldorf Streichfett担任:Mr. Nano
| 科目 | 評価 | 担任所見 |
|---|---|---|
| 音質・音の個性ストリングマシン | 5たいへん よくできました | あの霞む弦の壁は、この専門店の独占品です。 |
| 和音の体力128音ポリ | 5たいへん よくできました | 何声重ねても席が尽きません。 |
| 導入コスト5万円台 | 3 | 音色を1色買う、と考えれば妥当です。 |
| 音色の汎用性弦とソロ少々 | 1 | 品揃えは潔く1色です。 |
| 一台完結度 | 1 | 単独では曲になりません。敷物専門です。 |
弦の音だけを出す128音ポリの箱です。ドラムもベースもシーケンサーもなし。パッドを厚く敷く一色のために5万円台を払える人の、正しい贅沢です。
5=主力として非常に優秀/4=明確な強みがある/3=実用的だが工夫が要る/2=制約が大きく用途を選ぶ/1=この用途では勧めにくい。評価項目は機材ごとの得意・不得意に合わせて選んでいます。順位付けや他の機材との点数比較はしません。「資料評価」はメーカー資料・公開情報に基づく採点で、実機検証後に更新します。
「音の敷布団」
当店は敷布団の専門店です。掛け布団も枕も置いていません。
しかし、この弦の敷布団の上に寝かせた曲は、どれも上等に聞こえます。
128音ポリという広さで、どんな大の字も受け止めます。
一枚5万円台。寝心地は、値段の通りです。
この一席は、通信簿の評点と本文の事実に基づいた創作です。
この記事でわかること
- ストリングス・マシンとは何だったのか
- 128音ポリフォニックという異例のスペック
- ストリングス部とソロ部の2系統という構成
- 5ピンDINのMIDIを持つ利点
- 国内相場54,800円(2026年8月21日確認)
弦の音だけを出すために作られた楽器
1970年代から80年代初頭にかけて、ストリングス・マシンと呼ばれる一群の楽器がありました。弦楽器の音だけを出す専用機で、和音を押さえると独特のうねりが出る。サンプラーもデジタルシンセもない時代に、弦楽器の響きを電子回路で作ろうとした機材です。
その系譜は一度絶えました。Streichfett は、ドイツのWaldorfが2014年に単体の音源として復活させたものです。名前はドイツ語で「塗るための脂」、つまりバターやマーガリンのこと。音を厚く塗り重ねる機材、という洒落だと思われます。
Waldorf公式による全機能の解説です。ストリングス側とソロ側を混ぜる操作がつまみ1つで行われる様子が見られます。用途がはっきりした機材なので、この動画で音を聴けば要否の判断がつきます。
仕様のポイント
- ストリングス部は128音ポリフォニック。バイオリン・ビオラ・チェロ・ブラス・オルガン・合唱などをつまみで連続的に混ぜられる
- ソロ部は8音ポリ。ベース、エレピ、クラビ、シンセ、Plutoと呼ばれる音を同じくつまみで混ぜる
- 2系統は重ねて鳴らせる
- エフェクトはアンサンブル(うねりを作る)、フェイザー、リバーブ、トレモロ、Animate(音色の登録を揺らす)
- 音色は12パッチ(A・B・Cの3バンク)に保存できる
- MIDIは5ピンDINのIN/OUT。USBはMIDIのみ(オーディオは通らない)
- 出力はステレオ(L/Stereo・R/Mono)とヘッドホン
- 本体は185×185mmの正方形に近い形。電源はUSBの5V(80mA)か付属のPSU
128音ポリという振り切り方
同時に128音鳴らせるシンセは、そう多くありません。10本の指で押さえられるのは10音までなので、数字だけ見れば過剰です。
ただしストリングスの音は減衰が長いので、和音を弾き重ねていくと発音数はすぐに膨らみます。128音あれば音が途中で切れる心配をしないで済みます。「弦を分厚く重ねる」という一点のために配られた数字です。
アンサンブル・エフェクトも、この機材の本体と言っていい部分です。複数のコーラスを組み合わせて音を揺らす回路で、70年代のストリングス・マシンの音の正体は、音源そのものよりこのうねりのほうにありました。
つなぐのがいちばん簡単な1台
鍵盤のない音源モジュール4台で並べたなかで、Streichfett は5ピンDINのMIDIを持ちます。3.5mmのMIDIは配線の流儀がType-AとType-Bに分かれていて、同じ端子でも挿せば動くとは限りません。(この話はMIDI・オーディオ・クロックの違い。配線入門に整理しました)
DINなら、その心配がありません。手持ちの鍵盤がDIN出力を持っているなら、ケーブル1本でつないで終わりです。地味ですが、実務では効きます。
どんな人に合うか
合うのは、パッドを厚く敷きたい人です。ドラムとベースが動いている上に、弦の和音を1本重ねる。その役割に特化した箱で、5万円台という価格も「音色を1色買う」と考えれば理解できる範囲です。
合わないのは、1台で何でも鳴らしたい人です。出るのは弦と、少しのソロ音色だけです。ドラムもベースもシーケンサーもありません。
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この記事は公開されているメーカー資料と国内販売店の情報をもとに書いています。実機での検証は行っていません。音の質感、つまみの感触、実際の使い勝手など、触らないと分からない部分については書いていません。発売から10年以上経つ機材のため、在庫状況は販売店ごとに差があります。
画像について: アイキャッチはメーカー・販売店が公開している製品写真を参考に、形状・配色・つまみの配置をなぞって描いたAIイラストです(ロゴや文字は省略。写真ではありません)。
次に読む
- 他の音源モジュールと比べる → 鍵盤のない音源モジュール4台
- 鳴らすための鍵盤 → KeyStep mk2レビュー|鍵盤係はアルペジエーター
- 配線の基礎 → MIDI・オーディオ・クロックの違い。配線入門
- ウェーブテーブルの音源モジュール → Waldorf Blofeldとは|手のひらのウェーブテーブル
出典
- Waldorf 公式 Streichfett(音源構成・ポリフォニー・エフェクト・端子)
- Sound on Sound「Waldorf Streichfett」レビュー(電源・寸法・2014年発売)
- 国内相場は楽天市場の出品(2026年8月21日確認)。相場は変動します
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この記事はメーカー公式資料・公開情報に基づいています。個別機材の操作結果は、実機検証を行った時点で「検証済み」へ昇格させます。未検証の内容を「使ってみた」かのように書くことはしません(検証ポリシー)。
