この記事でわかること
- 音源モジュールとは何か(鍵盤を持たない箱)
- 4台の価格・音源・同時発音数・電池・端子の一覧
- 2万円台と12万円台で何が違うのか
- USBホストがあると鍵盤を直接挿せるという話
- 4台に共通して別に要るもの
鍵盤を持たない箱
音源モジュールは、音を出す部分だけを取り出した機材です。鍵盤もパッドも付いていないので、単体では音が鳴りません。MIDIキーボードやシーケンサーから音符を送って、はじめて動きます。
不便に見えますが、理由があります。鍵盤は場所を取り、価格の相当部分を占め、そしてすでに1台持っていれば2台目は要らないものです。鍵盤を外せば、机の上は空き、値段も下がり、音色そのものにお金を集中できます。
ここで挙げる4台は、いずれも「特定の音を出すこと」に振り切った箱です。万能なシンセではありません。そのぶん、その音を出したいときには他に代わりがありません。
4台を並べる
価格は当サイトが調べた国内相場です(楽天市場の出品/2026年8月21日確認)。
| PE128 | Streichfett | JU-06A | Mellotron Micro Module | |
|---|---|---|---|---|
| 国内相場 | 23,650円 | 54,800円 | 60,500円 | 124,630円 |
| 音源 | GM音色128+ドラム100 | ストリングス+ソロの2部 | JUNO-60/106の再現 | テープ実録音100音 |
| 同時発音 | 64(16パート) | 128(ソロ8) | 4 | 未確認 |
| USBホスト | ○ 鍵盤を直挿し | × | × | × |
| 電池 | ○ 内蔵2500mAh | × USB 5V | ○ 単3×4・約6時間 | × ACのみ |
| 内蔵スピーカー | × | × | ○ | × |
| MIDI端子 | 3.5mm DIN変換ケーブル付属 | 5ピンDIN IN/OUT | MIDI IN/OUT +USB micro-B | 3.5mm TRS Type-B IN/THRU |
| USBオーディオ | × | × MIDIのみ | ○ | × |
| 内蔵エフェクト | — | アンサンブル/フェイザー他 | コーラス2種+ディレイ | トーンのみ |
| 大きさ | 140×95×28mm 310g | 185×185mm | 300×128×49mm 995g | 133×187×64mm 683g |
| 発売 | — | 2014年 | 2019年 | 2025年 |
それぞれ、何のための箱か
TAHORNG PIANO ENGINE PE128 ― 鍵盤を直接挿せる2万円台
GM規格の128音色と100のドラムパターンを持つ、16パート・64音ポリの音源モジュールです。ピアノやエレピ、ストリングス、オルガンなど一通りが入っています。
4台の中で唯一、USBホスト端子を持っています。これは大きな違いです。USB接続のMIDIキーボードを変換なしで直接挿せるうえ、モジュール側から鍵盤に給電もできます。5ピンDINへの変換ケーブルも2本付属するので、ケーブルの心配がいちばん少ないのがこの機材です。
2500mAhの充電池を内蔵し、310gで140×95mm。文庫本ほどの大きさで、鍵盤を1本つなげばどこでも音が出ます。国内はファインアシストが扱い、税込23,650円です(2026年8月21日確認)。
ただしGM音源なので、音色の作り込みはできません。選んで鳴らす箱です。ここが他の3台との性格の違いになります。
Mellotron Micro Module ― あの揺れた音そのもの
1960年代のメロトロンは、鍵盤の下に録音済みのテープを仕込んで鳴らす楽器でした。この箱は、そのマスターテープから24bitで取り込んだ音を100音ぶん積んでいます。詳しくは個別の記事に書きました。
4台の中で唯一、テープの実録音です。音を合成するのではなく、実際に録音された演奏を再生します。だから「弦の音」と言っても、合成音の3台とは出てくるものが違います。拡張カードに対応しないので、100音から増えません。
Waldorf Streichfett ― 70年代のストリングス・マシン
1970年代には「ストリングス・マシン」という一群の楽器がありました。弦楽器の音だけを出す専用機で、和音を押さえると独特のうねりが出る。Streichfett は、その系譜を2014年に単体で復活させた機材です。
ストリングス側は128音ポリフォニックで、バイオリン・ビオラ・チェロ・ブラス・オルガン・合唱をつまみで連続的に混ぜられます。別系統のソロ部(8音)にはベースやエレピがあり、重ねられます。うねりを作るアンサンブル・エフェクトとフェイザー、リバーブを内蔵。
MIDIは5ピンDINのIN/OUT。変換を挟まず、手持ちの鍵盤とそのままつながるのは実務上の利点です。
Roland JU-06A ― JUNOを手のひらに
1980年代のシンセ、JUNO-60とJUNO-106を、ローランドのACB(回路の挙動そのものを再現する方式)で作り直したものです。前面のスイッチで60と106を切り替えられます。JUNOの代名詞であるコーラスも2種類入っています。
同時発音は4音と少なめですが、4台で唯一、スピーカーを内蔵し、USBでオーディオも出せます。単3形4本で約6時間動きます。アンプもヘッドホンも無しで音が出るのは、この1台だけです。
共通して、別に要るもの
4台とも鍵盤がないので、MIDIで音符を送る相手が要ります。これは4台に共通する追加費用なので、本体価格に足して考えてください。
必要になるもの: MIDIキーボード
音色特化の箱は和音を押さえて伸ばす使い方が中心なので、ステップシーケンサーよりも鍵盤のほうが向いています。
当サイトで使っているArturia KeyStep mk2(18,400〜19,800円)は32鍵で、5ピンDINのMIDI入出力を持っています。StreichfettとJU-06Aはそのままつながります。PE128には変換ケーブルが付属し、USB接続の鍵盤なら直挿しできます。Mellotronだけは3.5mmのTRS Type-Bなので、対応するケーブルが要ります。
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Arturia KeyStep mk2
- 新品相場
- ¥18,400〜¥19,800
- 中古相場
- 店頭 ¥10,200〜¥14,800
2026-08-17 時点の調査(デジマート等の新品出品・楽器店の中古出品)。相場は変動します。販売価格は各店舗の表示をご確認ください。
すでに鍵盤やシーケンサーを持っているなら不要です。MIDIのノートを送れる機材が1台でもあれば足ります。
どれを選ぶか
| こういう人 | 向いている機材 | 理由 |
|---|---|---|
| まず安く試したい/持ち歩きたい | TAHORNG PE128 | 2万円台・310g・電池内蔵。USBホストで鍵盤を直挿しできる |
| あの揺れたテープの音が目的 | Mellotron Micro Module | 実録音の100音。代わりになる機材がない |
| 弦のパッドを分厚く重ねたい | Waldorf Streichfett | 128音ポリ+アンサンブル。5万円台で最も安い |
| 外や膝の上でも鳴らしたい | Roland JU-06A | 電池・スピーカー・USBオーディオを持つのはこれだけ |
| 手持ちの鍵盤が5ピンDINだけ | Streichfett/JU-06A | Mellotronは3.5mm Type-Bで変換が要る |
| 1台で何でも鳴らしたい | (この4台は向かない) | 音色特化の箱。万能さを求めるならグルーヴボックスへ |
4台とも「2台目以降」の機材です。最初の1台を探しているなら、グルーヴボックスの7項目のほうを先に読んでください。
購入・価格を見る
安い順に並べています。枠内の価格は当サイトが調査した相場で、販売価格ではありません。実際の価格と在庫は各店舗の表示をご確認ください。
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TAHORNG PIANO ENGINE PE128
- 新品相場
- ¥23,650
- 中古相場
- 相場データなし
2026-08-21 時点の調査(国内取扱いのファインアシストの税込価格)。相場は変動します。販売価格は各店舗の表示をご確認ください。
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Mellotron Micro Module
- 新品相場
- ¥124,630
- 中古相場
- 相場データなし
2026-08-21 時点の調査(楽天市場の出品)。相場は変動します。販売価格は各店舗の表示をご確認ください。
この記事は公開されているメーカー資料と国内販売店の情報をもとに書いています。実機での検証は行っていません。音の質感、つまみの感触、実際の使い勝手など、触らないと分からない部分については書いていません。Mellotron Micro Module の同時発音数は、公開資料で確認できなかったため「未確認」としています。
次に読む
- メロトロン単体の詳細 → Mellotron Micro Moduleとは|鍵盤を外した12万円のメロトロン
- 鳴らすための鍵盤 → KeyStep mk2レビュー|鍵盤係はアルペジエーター
- 3.5mm MIDIのA/B問題 → MIDI・オーディオ・クロックの違い。配線入門
- 最初の1台を選ぶなら → グルーヴボックスとは。最初の1台で確認する7項目
- USBホスト付きの2万円台音源 → PIANO ENGINE PE128とは|USBホスト付きの2万円台音源モジュール
- 弦の音だけを出す128音ポリ → Waldorf Streichfettとは|弦の音だけを出す128音ポリの箱
出典
- Mellotron 公式ストア Micro Module(仕様・MIDI Type-B)
- 福産起業(国内代理店)製品ページ(寸法・付属品)
- ファインアシスト(国内取扱い)TAHORNG PIANO ENGINE PE128(価格・仕様・付属品)
- Waldorf 公式 Streichfett(音源構成・ポリフォニー・端子)
- Sound on Sound「Waldorf Streichfett」レビュー(電源・寸法・2014年発売)
- ローランド公式 JU-06A 仕様(発音数・端子・電池・寸法)
- 国内相場は楽天市場の出品(2026年8月21日確認)。相場は変動します
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