この記事でわかること
- 何が公開されたか。MPCの単体動作でVST2を読み込む、有志による方法
- 対象は第1世代だけ(MPC Live・One・X・Key、Force)。Live IIIなど第2世代は制限が強いと開発者が書いている
- 手持ちのVSTは動かない。MPCのプロセッサー向けに作られたものだけ
- Akaiは関与していない。本体の設定ファイルを書き換えるので、壊しても自己責任になる
- 当サイトは導入の手順を載せない。理由も書いた
先に結論: 面白い話ですが、いま手を出す対象は限られます。本体に手を入れた経験があり、壊しても困らない第1世代のMPCを持っている人だけです。それ以外の人は、何が起きているかだけ知っておけば十分です。
何が公開されたか
2026年9月下旬、開発者のsd88me氏が、Akai MPCとForceの単体動作でVST2プラグインを読み込む方法と、そのための道具一式をGitHubで公開しました。9月27日にSynth Anatomy、28日にBedroom Producers Blogが報じています。
報道によると、MPCのOSにはプラグインを読み込む仕組みが最初から入っており、Linux向けのVST2を読める状態だったとのことです。今回の公開物は、その仕組みに乗る形でプラグインを作り、MPCの画面に専用の操作ページを出すところまでを含みます。Q-Linkのつまみでの操作と、プロジェクトへの保存にも対応すると説明されています。
動くもの、動かないもの
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 動くプラグイン | MPCのプロセッサー(ARM)向けに作られたLinux用のVST2だけ |
| 動かないもの | WindowsやMacで使っている手持ちのVST。VST3も対象外。PCのプラグインフォルダを移しても鳴らない |
| 公開時点の収録 | Maze Voice(シンセ)、DX7(FM音源)、JV-880(PCM音源の移植)、Crate Digger、Euclidier(8レーンのユークリッド・シーケンサー) |
| 追加の方法 | 開発者向けの移植キットが付く。既存のC/C++の音源から作り直す前提 |
| 画面 | MPCのタッチ画面に専用ページが出る。つまみ・ボタン・数値表示 |
「MPCで好きなVSTが使えるようになった」という受け取り方は正確ではありません。使えるのは、誰かがMPC向けに作り直したものだけです。
対象の機種
| 世代 | 機種と状況 |
|---|---|
| 第1世代(対象) | Akai Force、MPC Live、MPC One、MPC X、MPC Key |
| 第2世代 | MPC Live IIIは「制限が強い」と開発者のREADMEに書かれている。MPC XLやKey 37は対象として挙げられていない |
海外メディアのコメント欄には「第2世代でも動いた」という書き込みが1件ありますが、開発者の説明とは食い違っています。確認が取れていない情報として扱います。当サイトの運営者が持っているのはAkai MPC Live IIIで、この方法は試していません。
やる前に知っておくこと
- Akaiは関与していない。メーカーの機能ではなく、サポートの対象にもならない
- 本体の中のファイルに触る作業が要る。開発者の説明では、通常は本体に手を加えて外から入れる状態にしてあることが前提になっている
- 設定ファイルを書き換える。開発者自身が、先にバックアップを取るよう書いている
- 保証がどうなるかは分からない。メーカーの見解は出ていない
- OSの更新で使えなくなる可能性がある。報道も、Akaiが今後ふさぐかどうかに触れている
- VST2は開発元が終了を告げた古い形式で、公開物は「自分の機材での個人的・非商用の実験用」と明記されている
当サイトが手順を載せない理由
理由は3つあります。
- 所有機で確かめられない。運営者のMPCは対象外の第2世代で、動くところを見ていない手順を載せることになる
- 失敗したときの責任が取れない。設定ファイルの書き換えで起動しなくなった場合、当サイトにもメーカーにも直す手段が無い
- 内容がまだ動いている。公開から数日で、対象機種の情報すら揺れている
興味がある人は、開発者の公開ページを直接読んでください。説明は英語です。
GitHub: sd88me/mpc-vst-plugins(開発者の公開ページ)
DAWLESS卓から見ると
PCを開かずにMPCの音を増やせる、という点では当サイトの範囲の話です。ただしいまの段階で「MPCを買う理由」にはなりません。公式の機能ではなく、対象も旧世代に限られるからです。
- 第1世代を中古で探している人: この話を理由に値段が動く可能性がある。相場の見方はDAWLESS機材の中古相場と探し方に書いた
- これからMPCを選ぶ人: 機種ごとの違いはAkai MPCの違い|6機種を価格・重量・対応OSで選び分けるにまとめている。この非公式の方法は選ぶ基準に入れないほうがいい
- 音を増やしたいだけの人: MPCには内蔵のプラグイン音源があり、追加分はAkaiの公式の手段で入れられる。そちらは保証の範囲に収まる
この記事は公開されている資料と発表に基づく紹介です。実機は未検証で、価格や条件は変わることがあります。
次に読む
- 有志ファームウェアの波(2026年10月) → 何が出て、Elektronは何を禁じたか
- MPCの機種ごとの違い → Akai MPCの違い|6機種を価格・重量・対応OSで選び分ける
- 運営者の所有機 → Akai MPC Live III
- 第1世代を中古で探す前に → DAWLESS機材の中古相場と探し方
- クリップで組む単体機 → Akai Forceとは
出典
- GitHub: sd88me/mpc-vst-plugins README(対象機種・条件・注意書き、2026年9月30日確認)
- Synth Anatomy: Run VST plugins on the Akai MPC OS standalone(2026-09-27)
- Bedroom Producers Blog: Run native VST2 plugins on first-generation Akai MPC/Force(2026-09-28)
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この記事はメーカー公式資料・公開情報に基づいています。個別機材の操作結果は、実機検証を行った時点で「検証済み」へ昇格させます。未検証の内容を「使ってみた」かのように書くことはしません(検証ポリシー)。
