Meng Qi Wing Pingerとは|フィルターを叩いて鳴らす楽器

Meng Qi Wing Pingerのイラスト(実機を参考に作成)。濃い木の枠に黒いパネルをはめた横長の機材で、右半分に黒い丸ノブが10個ほど、左半分に金色の長方形が鍵盤のように並ぶタッチ面
2026年度DAWLESS機材 通信簿資料評価|実機検証前

機材名:Meng Qi Wing Pinger担任:Mr. Nano

科目評価担任所見
発想の独自性フィルターping5たいへん
よくできました
音源なしで鳴らすという、引き算の頂点です。
音質・音の個性共振の声5たいへん
よくできました
Hordijk譲りの、生き物じみた鳴き方をします。
外部機材との連携CV・MIDI3外の世界とも一応会話できます。
入手しやすさ在庫薄1会いに行くこと自体が旅です。
導入コスト約25.5万円1思想への出資とお考えください。
総合評価3/5

オシレーターを持たず、2基のフィルターを叩いて鳴らす楽器です。フィルター同士が変調し合う美しい設計ですが、約25.5万円で在庫も薄い。楽器というより思想の値段です。

5=主力として非常に優秀/4=明確な強みがある/3=実用的だが工夫が要る/2=制約が大きく用途を選ぶ/1=この用途では勧めにくい。評価項目は機材ごとの得意・不得意に合わせて選んでいます。順位付けや他の機材との点数比較はしません。「資料評価」はメーカー資料・公開情報に基づく採点で、実機検証後に更新します。

「音源のない音」

この寺の鐘には、鐘を撞く棒がありません。

フィルターという鐘を、電気の指先で弾く。それだけで音が生まれます。

「音源はどこですか」と問う修行者に、住職は答えます。「無いことが、音源です」。

拝観料は約25万円。悟りは、安くありません。

この一席は、通信簿の評点と本文の事実に基づいた創作です。

この記事でわかること

  • フィルターを叩いて鳴らす楽器、Meng Qi Wing Pingerの紹介
  • 仕様の要点と、どんな人に合うか
  • 所有機材との比較の視点も

音源がフィルターしかない

Meng Qiは、中国のBeijingを拠点にする設計者のブランドです。うちではWingie2を取り上げましたが、その兄にあたるのがWing Pinger。オシレーターを持たないのが最大の特徴で、音を出しているのは2基の4ポール共振フィルターです。これを叩く(ping する)と、鐘や撥弦のような音が出ます。

設計はRob Hordijkの楽器に着想を得たもので、片方のフィルターの出力がもう片方のカットオフを変調するクロスフィードバックを持ちます(ルーティングはシフトレジスター)。この折り返しがあるおかげで、単純な減衰音だけでなく、コード進行のような動きや、崩れていくリズム、混沌としたテクスチャーまで出ます。外部の音をフィルターに通すエフェクターとしても使えます。

CutoffとResonanceにはそれぞれCV入力があり、モジュラー向けのTrigger/Step出力とMIDI入出力も持ちます。モードとオクターブはタッチパッドで選択。動作モードはPinging/Pinged/Pinged Latchedの3つ。電源は12Vセンタープラス(1A以上推奨)。バナナ端子版とミニジャック版があります。

入手性は厳しめです。公式サイトでは archive(過去の製品)の棚にあり、販売店在庫を探す形。MUTANの表示で1,380ユーロ(約25.5万円)ですが在庫切れでした(2026年8月19日確認)。国内の取扱いも見つかりません。

Meng Qi公式チャンネルに製品紹介動画を確認できなかったため、この記事では動画を載せていません。動作の様子は販売店や演奏者の動画(DivKid、HAINBACHほか)で確認できます。

仕様のポイント

  • オシレーターを持たず、2基の4ポール共振フィルターを ping して発音するアナログ楽器
  • クロスフィードバック: 片方の出力がもう片方のカットオフを変調(シフトレジスターでルーティング)。Rob Hordijkの楽器に着想
  • 外部音をフィルターに通すエフェクターとしても使える
  • CutoffとResonanceに個別のCV入力、モジュラー用のTrigger/Step出力、MIDI入出力。モードとオクターブはタッチパッドで選択
  • 動作モードはPinging/Pinged/Pinged Latchedの3つ。電源は12Vセンタープラス(1A以上推奨)。バナナ版とミニジャック版あり
  • 価格1,380ユーロ(約25.5万円・MUTAN/在庫切れ)。公式ではarchive扱い。国内取扱いは確認できず(2026年8月19日確認)

2026年に発表された Wing Pinger 2.0(発売日・価格は未定)

2026年5月のSuperboothで、後継のWing Pinger 2.0が発表されました。削り出しアルミ筐体の手のひらサイズで、自己発振するアナログフィルター2基とクロスフィードバックという中身は引き継ぎつつ、画面と内蔵スクリプト言語が加わります。

スクリプトはWeb系のライブコーディング環境Strudelに着想を得たもので、シーケンスを書く、内部パラメーターを変調する、ブロック同士が時間をかけて影響し合う様子を記述する、といったことができるとされています。2026年5月7日時点で発売日も価格も未定です。発売されたら、この記事に追記します。

うちの機材で言えば

うちのDigitone IIもFMで金属的な音を作れますが、あれは「設計して作る」音です。Wing Pingerは「叩いて出す」音で、しかも2基のフィルターが互いに干渉するので、狙って同じ音を出すのが難しい。Torso T-1が確率で揺らすのに対して、こちらは回路そのものが揺れています。

現実的な話をすると、25万円の在庫切れ品なので、今から追いかける機材ではありません。同じブランドで手が届くのは、うちでも紹介したWingie2(国内26,800円)のほうです。Wing Pingerは「フィルターだけで楽器が成立する」という考え方を知るための一台として見るのがいいと思います。

次に読む

出典

この記事は未所有機材の紹介記事です。仕様はメーカー公式資料等で確認しています(確認日: 2026年8月19日)が、実機での検証は行っていません。実機を入手した場合は、別途レビュー記事として書き直します。価格の円換算は2026年8月18〜19日時点の為替(1ドル≒159円、1ユーロ≒185円、1ポンド≒216円)による目安で、送料・関税・輸入消費税は含みません。

画像について: アイキャッチは実機の写真(公式画像)を参考に、形状・配色・配置を忠実になぞって描いたAIイラストです(ロゴや文字は省略。写真ではありません)。本文の4コマ漫画もAIで作成したイメージです。

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メーカー資料確認のみ|実機検証前

この記事はメーカー公式資料・公開情報に基づいています。個別機材の操作結果は、実機検証を行った時点で「検証済み」へ昇格させます。未検証の内容を「使ってみた」かのように書くことはしません(検証ポリシー)。