
この記事でわかること
- メーカーの違う機材同士が繋がる理由
- MIDIは1983年1月に発表された「共通語」であること
- その功績が30年後にグラミー賞を受けたこと
メーカーが違うのに、なぜ繋がる?
DAWLESSの机では当たり前の光景があります。フランス製の鍵盤でスウェーデン製のシンセを弾き、日本製のリズムマシンと同期する。メーカーも国も違う機材が、ケーブル1本で会話する——考えてみれば不思議なことです。
この「当たり前」を作ったのが、MIDI(ミディ)という共通語です。
1981年、共通語への道
1980年代初頭、電子楽器は繋がらないのが普通でした。各社が独自方式で、同じメーカー同士でしか会話できなかったのです。
ローランドの公式コラム「楽屋」によると、規格の原案を作ったのは大阪・住之江の開発拠点にいた技術者たちで、社内では「住之江フォーマット」と呼ばれていたそうです。創業者の梯郁太郎はこの構想を携えて海外メーカーを回り、シーケンシャル・サーキット社のDave Smithらとの協議の末、ローランド案をベースに規格がまとまっていきます。
1983年1月、ライバルが握手した
1983年1月のNAMMショーで、MIDIは正式に発表されます。ライバルであるはずのメーカー同士が、共通の言葉を無償で公開するという異例の決断でした。特定の1社が独占していたら、いまの機材文化はなかったはずです。
以来40年あまり、規格の中身は驚くほど変わっていません。あなたの機材の5ピン端子も、小さなTRS型のMIDI端子も、USBの中を流れるMIDIも、話している言葉は1983年と同じです。
30年後のグラミー賞
2013年、梯郁太郎とDave Smithのふたりは、MIDIの功績によりテクニカル・グラミー賞を受賞しました。楽曲ではなく「楽器同士を繋いだ発明」が音楽の賞を受けたのです。
机の上の配線は、43年前にライバル同士が交わした約束の上に成り立っています。次にケーブルを挿すとき、少しだけ1983年を思い出してください。
次に読む
- 配線の実践編 → MIDI・オーディオ・クロックの違い
- USB機材をMIDIの世界へ → 縁の下のMIDI通訳、Kenton
- 同じ時代の英雄 → 博物館に入ったリズムマシン、TR-808
出典
- Roland「ローランドの楽屋にて|MIDIの名は住之江フォーマット!」 — 規格誕生の社内経緯・1983年1月NAMM発表
- Roland プレスリリース(2013) — 梯郁太郎とDave Smithのテクニカル・グラミー賞受賞
- Roland Articles — 「MIDI was the talk of the musical town in 1983」
史料について: この記事の事実関係は、ローランド株式会社の公式公開資料で確認しています(確認日: 2026年8月8日)。当時を知る当事者への取材は行っていません。
画像について: 本文の4コマ漫画とアイキャッチはAIで作成したイメージです。実在の機材・人物ではありません。
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この記事はメーカー公式資料・公開情報に基づいています。個別機材の操作結果は、実機検証を行った時点で「検証済み」へ昇格させます。未検証の内容を「使ってみた」かのように書くことはしません(検証ポリシー)。
